被爆ギター

 昭和13~14年頃、井上哲夫さん(当時19歳)のギターの先生・細川源三郎氏が、木工細工師の方に依頼し、哲夫さんのために作られた19世紀ギターモデルのギター。

 1945年8月6日、爆心地から3キロ離れた旭町の哲夫さんの家は半壊。ギターはケースに守られかろうじて形をとどめたが、熱線で塗料は溶け、板も反り返り剥がれ、弾ける状態ではなかった。
 哲夫さんが亡くなった後、息子の進さんが保管。60年以上経ち、進さんのギター仲間で、古楽器に興味のあったクラシックギター専門店の店主、故・藤井寿一氏によって修復。今は、当時の音色を響かせている。
 2022年、初めて広島以外での演奏が実現し、東京、大阪、仙台にてその音色が披露された。